2022年1月22日~2022年3月21日まで、ところざわサクラタウンで開催された
『安彦良和 機動戦士ガンダム THE ORIGIN展』
に会期ギリギリで行ってきたのでレポするぞ。
館内スマホ撮影は許されていたので、迷惑にならない程度に写真も紹介しつつ。
平日にこっそり1人で行くつもりだったのだが、下の息子が興味を示したので妻と息子も連れ3人で行くことに。
車で行ったのだが……道が混んでいてむちゃくちゃ時間かかってしまった
休日に行くには公共交通機関が良かったかもしれない
最初に全体の感想を言うと、どの絵も美しかった!
安彦さんのガンダムは本当に美しく、色気がある……
鑑賞中の脳内は (カッケェ)(凄え)(美しい…) ばかりの語彙力0になってしまった。
「僕にとって『機動戦士ガンダム』が唯一のガンダム」
安彦さんの冒頭の挨拶文(図録の冒頭にも同じ文章が書かれている)。
「1stガンダム」「富野喜幸」「ORIGIN」に対する思いが綴られている。
安彦さんの中で「1stガンダム」が特別な存在であり、高く評価していると強く感じられる文章だ。
ORIGIN展の展示
展示は物語の展開を追うように、6つのエリアに区分けされている。
各エリアごとに安彦さんのコメントが付いていたので、一部ずつ引用して紹介していこう。
「01 始動編/激闘編」
「テレビシリーズの第1話は、20分ちょっとに信じられないくらいの情報量を入れているんです。あれは奇跡に近いんじゃないかな。
安彦さんコメント
そんな富野演出にリスペクトしつつ、本当はこれぐらいの尺が欲しいよね、と、もう少し親切にやってみたんです。」
TVシリーズ1話が奇跡的なのは異論なし!
アムロが事前に父のデータを覗き見してガンダムの操作を知っていた改変も、マニュアルパラ見しただけよりは説得力があって良かったと思う
「02 ガルマ編/ランバ・ラル編」
「「再会、母よ」は、いちばん好きですね。すばらしい話だと思います。(中略)冷たい母親だと思われても仕方がないと思うんですが、そのことを間違っているとか、誰が良いとか悪いとか言ってないんです。むしろ、あの夫婦はもう冷え切っているんだろうな、とさり気なく感じさせる。だから『機動戦士ガンダム』はすばらしいんですよ。」
安彦さんコメント
子供のころは、カマリアは「なんかあまりわかってくれないけどまあ愛情はあるんだろう」くらいに観ていたのだが、ある程度大人になってから観ると、この母親なかなかにひどいなと感じる……
「EX 過去編」
「「ランバ・ラル編」で、ラルが再会したセイラに怯むシーンを見て、このふたりの過去に何があったのか気になったのが「過去編」を描こうと思った動機のひとつです。(中略)この「過去編」で最も描かなければいけないな、と思ったのは、デギン・ザビは悪者だったのか、ジオン・ズム・ダイクンは絶対の存在だったのか、正しいジオニズムとは何か、ということです。」
安彦さんコメント
TVシリーズのわずかな印象では、ダイクンは平和的な名君だったのだろうと思っていたが、ORIGINでの解釈はかなり違ったものになっているな
「03 ジャブロー編/オデッサ編」
「テレビシリーズとは、オデッサの会戦とジャブロー攻防戦の順番が逆なんです。やはりジャブローを落とせなかったことでジオンは劣勢一方となり、連邦軍の主要戦力はオデッサという最後の砦を落として宇宙に反転するわけですから、明らかにオデッサが後だと。
安彦さんコメント
そのジャブローをギアナ高地にあるとしたのは、あのテーブルマウンテンには実際に空洞もあるし、1000メートルの岩盤も可能だと思えたからです。(中略)我ながら天才的な発想だと思っていたんですが、すでに「ガンダムセンチュリー」というムックでギアナ高地だと指摘されていました。「ガンヲタ畏るべし」です(笑)。」
ジャブローがギアナ高地設定は、『Gのレコンギスタ』でも採用を匂わせるシーンがあるぞ
「04 ララァ編/ソロモン編」
「テキサス・コロニーにセイラが降りて、かつて住んでいた場所を尋ねるシーンは、「過去編」を描いたことを含めて、自分ではすごく充足感を感じています。以前は、なぜテキサス?と思っていたんですが、かつての思い出の場所を想起させるネーミングなんですよね。(中略)あそこでシャアとセイラが交わすやりとり、それをカイが聞いてしまうところなど、自分でも好きなシーンです。」
安彦さんコメント
なるほど
テキサスは「決闘」イメージで使ったのだと思っていたのだが
兄妹の再会に「もう戻ってこない、かつての良かった時代」をオーバーラップさせる演出だ、という解釈は頷ける
ところで安彦さんコメント、ララァには一言も触れていなかったな
「05 ひかる宇宙編/めぐりあい宇宙編」
「キシリアがなぜギレンを殺したのか、というと、勝利が見えたから、なんです。敗戦の土壇場でやったんじゃない。そうなるともうギレンは不要だから、殺して自分が天下を取ろうと思った。そのキシリアを、復讐に取り憑かれた、視野の狭いというか空気の読めないシャアが殺す。そうした流れをはっきりさせておいた方がいいだろうと思いました。」
安彦さんコメント
私は 言うてキシリアは父親やガルマにはそれなりに情があったのだと解釈しているが、安彦さんのキシリア解釈はかなりシビアだ
「00 OTHER WORKS」
「OVAの作業は、スタッフのおかげで、思ったほど辛くはなかったですね。(中略)発見もありましたね。漫画の動きとかを動画にすると、そのまま動くんです。僕の漫画は結構動くなと。理に適っていたんだな、やはり僕はアニメーターなんだなと思いましたね。。」
安彦さんコメント
安彦さんの仕事部屋再現などもこのエリアにあったぞ
アニメ原画は鉛筆なのでペンの硬い線に馴染まず、松本零士先生に「筆という選択肢もある」と教えられて、以降筆でペン入れしているとのこと。
物語終盤の展示に入ると名場面、名台詞が吊られていて気分を盛り上げてくれた!
展示も工夫されていて、なかなか愛を感じたぞ。
……まあ来たいと言った下の息子は「02 ガルマ編/ランバ・ラル編」のあたりで早々に飽きてしまい(だからそうなるんじゃないかと事前に何度も言ったのだが……)、結局妻が息子に付き合ってくることになり、私だけじっくり鑑賞させてもらってしまった。
妻はガンダム世代なのでそれなりに興味があってもう少し観たかったようだったのだが、申し訳ない……。
(ちなみに妻は1stではエルメス、Zではキュベレイのデザインが好きとのこと。)
キャラもメカも塗りもすべて巧い
とにかくどの絵も美しく、塗りも見事だ。
スーパーアニメーターだからこそかも知れないが、修正の跡がほとんどないのも信じ難い技術。
非常に見応えのある展覧会だった。
今後他の場所でも開催されそうなので、興味と機会があればぜひ観覧をおすすめする!
図録もぎっしりボリューム
図録を買って帰ったぞ。イラストぎっしりで満足満足。
6月公開の『ククルス・ドアンの島』のイラストも一点収録されていたぞ。
おまけ:めぐりあいケロロ
冒頭に書いたように、道がひどく混んでいて到着が昼頃になってしまったので、展示を見る前に昼食を済まそうか、ということに。
施設内中庭のような部分に屋台が出てフードコートのようになっており、そこで昼食をとることにしたのだが、食べていると聞き覚えのあるケロロ軍曹の『ケロッ!とマーチ』が聞こえてきた。
角川の施設だからいつも流しているのかな、と思っていたら……なんかギロロが歩いてくる???
息子はもちろん世代ではないのだが、動画配信でケロロ全シリーズと映画を履修済みである!笑
テンションの上がる息子!(いや私もちょっと上がってた)
そしてお客さんが並んで撮影会が始まった。
「これは何か買った人とか……ただ並べば写真撮っていいのでしょうか?」
と係の女性に尋ねると
「あ、どうぞどうぞ、こちらに並んでいただければ」
と優しく言っていただいたので、並んで写真を撮らせてもらってきたぞ。
さらに展示を観終えた後、会場から出ると今度は軍曹の姿が!
こちらも記念撮影をお願いしてきた。いいタイミングだった。
息子も楽しんでくれてよかった。ありがとう軍曹!
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