『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』……制作されると発表された後、音沙汰なくなったり噂が浮上したりと約20年の紆余曲折を経てついに!
2024年1月26日から公開されたガンダムSEEDシリーズの劇場版だ。
公開初日に観に行ったので、感想など書いてみるが、しばらくはネタバレに極力注意してざっくりなところだけ。
もう少し細かい感想(あのシーンがどう、とか)は、映画公開終わってから追記するつもりだ。
とりあえず、『SEED』『DESTINY』ファンは高確率で楽しめる映画だと思うので、安心して観に行って欲しい。
『SEED』『DESTINY』のファンが満足できて喜べる作品
まず総括として、私はしっかり楽しめた。
キャラクターたちの成長も感じられるし、想い合っているキャラ同士の絆は深まっているし、MSの描写やアクションも魅せてくれる。主題歌もとてもいい!
何を重視しているかは人によって違うし、私自身も「この部分もうちょっと示して欲しかった」と思うところはあるのだが、『SEED』、『SEED DESTINY』を観てきた人は満足できる、喜べる人が多い作品ではないかと思う。
SEEDファン、あるいはガンダムファンが「おっ!」と嬉しくなるようなサービス的なカットやセリフも随所に散りばめられている。
まあはっちゃけて面白すぎる部分、笑いつつツッコみたくなる部分はあるのだが、私はそれも単純に楽しく観れた。
少なくともシリーズを追ってきたファンが「がっかりだ」「愛着のある作品を汚された」といったことにはまずならないはずなので、安心して観て欲しい。
ガンダムSEED FREEDOMのパンフレット豪華版と通常版の違い
本編感想に入る前にちょっとパンフレットの話。
劇場パンフレットは通常版(1,100円)と、通常版に加え小冊子の付属する豪華版(2,500円)が用意されている。
小冊子の内容はキャラとメカの設定線画集。文字情報はなく、中表紙以外カラーもない。
実は売場で「豪華版には小冊子が付きます」と案内され、事前に調べていなかったのが悪いのだが、「小冊子って何か、ライナーノーツ的な設定解説とか、スタッフさんのインタビューとかあるのかな」と購入したため、「あー設定画のみか……悪くないけど……プラス1,400円か……」な気にもなってしまった。
(デザイナーさんがデザインする上で考えたことを載せてくれるとか、もうちょいプレミア感ある内容あっても良くない?)
設定線画集に重きを置かない人は通常版の方で良いだろう。
通常版パンフレットはカラーも多く、監督やプロデューサー、声優の皆さん、音楽の佐藤さん、西川貴教さんのインタビューなどがあり、関わった方たちの想いが感じられて読み応えがあり、とてもおすすめだ。
ちなみに公開記念のガンプラも発売されていたのだが、初日の9:40の回だったが安定の売り切れ。
購入制限もあるのに、入荷個数少なすぎはしないか。
ストーリー:キラの葛藤を描き 納得感のある脚本
続く戦乱に、デュランダルの計画を止めた責任と十字架が再びキラの心を削り、ラクスは心の強さを試される……。
自由と人間の可能性を選んだキラが、現実に向き合い、悩み苦しみながら……というところは描いて欲しかったので、非常に満足。
また正直に言うと、私は『SEED』や『SEED DESTINY』で、主人公側のキャラの言動にもちょっと首をかしげるというか、イラッとしたこともちょいちょいあったのだが(怒られるかな)、今回の映画ではそれをほぼ感じず、気持ちよく観れた。
ドラマ作りも、カタルシスに向け、イライラさせてフラストレーション溜めさせるのがとてもうまい。
アクション作画:CGで描かれるMS戦やエフェクトも格好良い
CGで描かれるMSも違和感なく格好良かった。エフェクトも美しい。往年のガンダムファンを喜ばせようという機体も。
ライフリやイモジャスの飛行形態変形機構は、単純すぎていまいち面白味がないかな……実際の運用考えたらあの程度の変形の方が説得力はあるのかもしれないが……(でもSEEDってそういうトコこだわるスタイルじゃないよな)。
今作で登場の新興国・ファウンデーション王国側のMSは、頭部デザインはMSっぽくない感じがしたが、ひと目でこの勢力のメカだと伝わることは視聴者の負担軽減的に重要なので、その点ビームマント装備など優れている。
CGを用いた大量破壊兵器の描写はかなりエグめ……。
主題歌:西川貴教さんとSee-Sawさんは沁み入る盤石さ
主題歌は西川貴教 with t.komuro さんの「FREEDOM」
See-Saw さんの 「去り際のロマンティクス」
どちらも沁みる良い曲だった。やっぱりSEEDはこの方たちだよな!
冒頭、主題歌の入りが決まっていて痺れたぞ!
キャラ:葛藤のキラ、かっこいいアスラン、かわいいシン
今作のアスランはブレない正論パンチで終始カッコイイ。(最後ちょっと面白いが)
まあ君も過去かなり迷ってたけどな、とツッコみたくなる気持ちもあるが、それを踏まえての成長と見るべきか。
シンは世慣れしない犬系男子でかわいい。(ただしラッキースケベは忘れない)
『DESTINY』で今ひとつうまく見せられていなかった彼の良さが良く描かれている。ルナマリアとも良い感じ。
カガリもオーブの首長として、プラントと地球、そしてキラたちのいるコンパスとの間を取り持つ難しい仕事に心を砕いている。
ムウはたいがいスゴい。(お前ほんとにナチュラルか)
キラはちょっといじいじするところはあるのだが、まあ彼ならそうなるかな、という一貫性と物語上の必然性があるので納得できた。流石にそこはちょっと、という部分はアスランがきっちり回収してくれたしな。
ラクスも、彼女らしさをしっかり描いていて好感。あと後半の衣装が唐突にエロい。
新キャラ陣、アグネスはキャラ立っていたし、個人的にはハインラインが美味しかった。
CV下野紘さんの久々に見る王子様キャラは良かったが、ブラックナイトの面々はキャラ立ち今一つかな。というか2時間の映画に出す新キャラ数じゃないんだよな。
CV田村ゆかりさんのロリ女王はさすがの安定感。
すべてスッキリ……とは言わないが 私は十分満足できた
この話は根幹としてキラとラクスの話、そして人のあり方、人と人のあり方を問う作品なのだと解釈している。
極めて個人的、局所的なナラティブでもあり、普遍的なテーマでもある。
一方前述の通り、個人的には大局的にはもう少しここを描いて欲しかったと思う部分はあるのだが、内容は満足でき、観に行って良かった映画だったぞ。